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経営戦略の三位一体を実現するための特許情報分析とパテントマップ作成入門 [知財]


経営戦略の三位一体を実現するための特許情報分析とパテントマップ作成入門

経営戦略の三位一体を実現するための特許情報分析とパテントマップ作成入門

  • 作者: 野崎篤志
  • 出版社/メーカー: 発明協会
  • 発売日: 2011/12/09
  • メディア: 単行本



パテントマップの本が出版された。著者は日本技術貿易(NGB)の野崎さんである。野崎さんとは数年前にパテントマップのセミナーで知り合って以来、twitterやfacebook等で情報交換をさせて頂いている。本書の製作過程で何度か感想・コメントを送らせていただいたところ、野崎さんよりご献本頂いた。ありがたいがぎりである。

野崎さんと私は共通点が多い。特許調査・分析をキャリアのスタートにしていたり社会人大学院に通って自己研鑽に励んでいたり、データ分析に高いプライオリティーを感じていたり、おまけに年も近いといったところである。私は特許業界の外に出たが、大量のデータ分析を企業経営に活かしたいという点では同じ志を持っていると言っていいだろう。

さて、本書をざっとレビューしたいと思う。この本の最大の特徴は「企業経営」という視点から特許情報分析(パテントマップ)を捉えているという点につきる。特許情報は多面性を備えている。技術情報だったり法的情報だったりする。しかし、今までは経営情報としての特許情報に光を当てた書籍は少なかったのではないかと思われる(少なくとも日本では)。単なるパテントマップの作成法に留まらずそこから経営的な意思決定に有効なインテリジェンスを抽出することが分析の要だ。そういった観点からのアプローチを試みている本書の態度は実に正しいと思っている。

一方で、「パテントマップ作成入門」の「作成入門」という言葉にあるように、前提となる知識なしでExcelさえあればパテントマップを作成できるようにビジュアルをふんだんに取り入れた記述も評価したい。バブルチャートなど有効なパテントマップの作り方が非常に分かりやすい。初心者はこれ一冊あれば一通りのパテントマップの作成法と解釈のコツがつかめるのではないだろうか。

このようにバランスのよい本書であるが、「入門」ということなのでこれを基礎としてより高度な分析に旅立つべく、ここでは次の3つの方向性を提案したい。

①経営学を身に着ける
「経営」的な側面に興味が湧いたならば「特許」という枠を超えて、本格的な「経営学」の本を読みこなし、又はMBAに入学するなどして論理武装するという方向性がある。数年前から日本でもビジネススクールが乱立しており、敷居の高い海外に行かなくても先端の経営学が学べる環境が整いつつあるのでやる気次第で国内にいても相当の事を身に着けることができる。

②データ分析を深める
「データ分析」を深めたいならば、「パテントマップ」という枠を超えて、Rを使った数理モデリングやデータビジュアライゼーションを学ぶという方向性があり得る。多変量解析や機械学習の知識の習得が分析をさらに深いものにする。専門書には高度な数式が出てくるが、工学部1年生までの線形代数・微分積分・確率統計の知識があれば読みこなせる本が多い。なので、高校数学をざっと復習して+αの数学知識を勉強すれば読みこなせてしまうので臆する必要はない。

③処理を効率化する
パテントマップ作成を効率化したいならば、Excel VBAやその他のプログラミング言語でパテントマップ作成を自動化してしまうという方向性がある。パテントマップの本質は「作ること」ではなく、「結果を解釈して考察」することにある。作る時間が減れば考える時間が増える。パテントマップを作るには、煩雑で地道なデータハンドリングに多くの時間を割かなければならない。なので、単純作業の部分はプログラムを書いてクリック一発で出来るようにしてしまうと、大幅に作業が効率化するだろう。初心者がプログラミングを習得しようとすると最初は時間がかかるが、後になれば大きく作業工程を短縮することができる。巷のパテントマップソフトで代用する方法もあるが、このようなソフトはかゆいところに手が届かない場合が多い。かゆいところをかきむしるには自分でプログラミングするのが近道なのである。涙と血を流しつつプログラミングを習得するとがらりと世界が変わる。

「経営戦略の三位一体を実現するための特許情報分析とパテントマップ作成入門」はこのように多様な展開へと繋がる導入となる。是非とも手元に置いておきたい一冊である。

ソーシャルマイニング [データマイニング]


入門 ソーシャルデータ ―データマイニング、分析、可視化のテクニック

入門 ソーシャルデータ ―データマイニング、分析、可視化のテクニック

  • 作者: Matthew A. Russell
  • 出版社/メーカー: オライリージャパン
  • 発売日: 2011/11/26
  • メディア: 大型本



オライリーからソーシャルデータのマイニングに関する本が出た。「集合知プログラミング」の後継という位置づけである。本書は既に英語版が1年前に出版されていた。やっぱり日本語になるのを待つと先端からだいぶ遅れてしまうのだと思う。

「集合知プログラミング」が機械学習や最適化理論の入門書だとすれば、こちらはソーシャル"データ"の入門書になる。TwitterやFacebookなどのAPIを活用してソーシャルデータを如何に扱うかが主題である。英語版のタイトルが「Mining the Social Web」だが日本語タイトルの方が的を得ていると思う。

ちなみに言語は「集合知プログラミング」と同様にPythonだ。Pythonの和書は少ないが他の言語をマスターした人なら、Pythonの習得にはそれほど時間はかからない。好みにもよると思うが、一度、使い始めてみるとわりと気に入ってしまった。少なくとも記述が面倒くさいJavaなんかよりもずっといいと思った。こういうとこが分析屋気質なんだろうと思う。

これからのデータマイナーは「ソーシャル」なものの考え方が必須になると思う。人間のコミュニケーションや行動がソーシャルWebによって大きく変化すると予想されるからだ。本書は人間行動の分析ツールの引出しを増やすにはもってこいの本だと思う。

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